話しの種まき

フィギュアスケートとX JAPAN。

デニス・テン ノーブルな氷上のアーティスト

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7月19日、彼が死亡したというニュースを聞いてから、Youtubeで何度、彼の動画を見たことでしょう。

デニス・テン。私の一番好みの男性スケーター。品があり、私がこうあって欲しいと思うフィギュアスケートを体現してくれる一人。彼の曲の解釈が他の誰よりも好き。

中には彼の演技は練習のようで魂がこもっていない、というような事を言う人もいましたが、あれくらいが節度があって丁度良いのです。やり過ぎると下品になるだけ。

そして何と言っても、彼も高橋大輔同様、私がアイスショーでも見てみたいと思う数少ないスケーターの一人なのでした。

クラシックもオペラも、バレエ曲もエスニックも、ロックもヒップホップも、何でもござれ。多分安部晴明だってやれと言われたらやっちゃうと思う。

選曲の趣味も衣裳の趣味も良かった。指先まで綺麗だった。そしていつも”男”だった。そうだよ、”メンズ”フィギュアスケーティングだもん。中性的なのは気持ち悪いんです。

イタリアの情熱も演じられるし、中央アジアの英雄も演じられる、本当に引き出しの多い選手でした。

彼のスケートの特徴の一つに、姿勢が綺麗なことがあげられると思います。あの上半身の美しさに私はいつも見とれていた…。ジャンプのランディングも、スピンの最中も、スピンから出る時も、どんな時でも起きている上半身。本当に美しかった。

そしてやっぱり彼は”表現する”人。表現といっても安っぽいお芝居ではなく、その楽曲の世界をスケートの技術を使って現すこと、それに彼は長けていた。間の取り方も上手かった。

彼を見ていて、フィギュアスケーターはスケートが上手いだけではダメなんだな、頭も良くないとダメなんだな、と思わせられることが多々ありました。

音楽も知らないといけないし、それに合った衣裳を選ばないといけないし、それにあった立ち居振る舞いをしないといけないし、本当に色々なことが要求されるスポーツです。

その意味でデニス・テンは頭が良く、センスも良かったと思います。たとえ振付師がどんなに優秀でも、その作品に魂を入れるのはスケーターです。振付をただなぞるだけではなく、自分なりに解釈して自分のものにしていくには、やはりそれなりの知能が必要でしょう。

彼は自分で音楽も作るし、歌も上手いし、絵も描くし、写真も撮るし、だから芸術畑の人かと思いきや、工科大学生だったりして、本当に多才な人です。

ローリー・ニコルも、ニコライ・モロゾフも、デヴィッド・ウィルソンもこなせる彼は、やっぱり沢山のギフトを天から与えられたスケーターだったのだと思います。



*デニス・テン&フレンズショーinアスタナ2013
もっとこういった彼にしか出来ないプログラムが見たかった。


ソチ以降の彼は、残念ながら怪我や故障に悩まされて、あまり良い結果を残せませんでした。ジャンプが決まらなかったのが残念でしたが、でも彼の高さのあるジャンプは見応えがあったし、そして何といってもあのランディング姿勢は、いつでも健在だった。

そして彼が時折見せる、あの小さ目のガッツポーズが、私は大好きでした。

彼がこんなに早くこの世を去るなんて、一体誰が想像したでしょう。犯人、何てことしてくれたんだ。時間を戻せるなら戻したいと思っている人達が、世界中にどれだけいることか。

ただこう言っては何ですが、彼が倒れていた場所が街路樹があって、広々とした所だったのがせめてもの救いでした。

どこか薄汚い、人通りもない駐車場の片隅で、一人長いこと横たわっていたのだとしたら、あまりにも悲し過ぎるから、そうじゃなくって良かった。

彼の死は本当にフィギュアスケート界にとって大きな損失だと思います。

心からご冥福をお祈りいたします。


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